なぜ、アルミ缶の買い取り値段は高いのか?理由
アルミ缶を業者に持ち込んだ場合、買い取り値段は1kgあたり約130円。スチール缶の場合、1kgあたり約10円です。その差は約13倍。なぜ、ここまで買い取り値段が違ってくるのでしょうか?
アルミ缶の材料”アルミニウム”は生産コストが高い
アルミ缶の主な材料は、その名の通り”アルミニウム”です。
アルミニウムは、ボーキサイトという鉱物を原料に、ホール・エルー法という製錬方法で生産されますが、この過程で大量の電力を消費します。別名「電機の缶詰」とも呼ばれており、生産コストも高くなります。
一方、アルミ缶(アルミニウム)をリサイクルする場合、生産時の3%しか電力を消費しません。回収・処理費用を考慮しても、リサイクルする方が利益がでることも多いようです。
つまり、原料からアルミニウムを生産するより、リサイクルする方がコストが安いから、買い取り値段を高くしてでも、アルミ缶を回収したいのです。
スチール缶の材料”鉄”は生産コストが安い
次に、スチール缶について考えてみます。
スチール缶の主な材料は、”鋼(鉄の合金)”です。
鉄は、地球質量の約30%を占めており、鉄の原料となる鉄鉱石の可採埋蔵量は、約2,320億トンです。これは、他の金属(ボーキサイト280億トン、銅6億トン、亜鉛3億トン、鉛1億トンなど)と比較すると、桁違いに多い埋蔵量です。
※可採埋蔵量とは、現在、技術的・経済的に採掘できる埋蔵量のこと。
まとめると、鉄鉱石(鉄の原料)は、埋蔵量が豊富にあり、産出量も多い。だから、市場価格が安くなります。
つまり、原料からスチール(鋼)を生産するコストが安いので、スチール缶の買い取り値段も安くなります。
運送コストはアルミ缶が安い
ここまで読むと、自動販売機で販売している飲料缶も、アルミ製の方が高くなりそうですが、実際には、気にならない程度の価格差です。
これは、アルミ缶の輸送コストの安さが関係します。
アルミ缶は、スチール缶より薄く成形でき、重さも約3分の1程度です。軽いから、輸送コストが安くなります。
生産コストだけ見れば、”鉄”より”アルミニウム”の方が高くなりますが、運送費などを考慮すると、スチール缶とアルミ缶の総コストは、ほぼ同じになるようです。
まとめ
・アルミニウムは、原料からアルミニウムを生産するときのコストが高い。一方、リサイクルは、生産時の約3%の電力で可能。
・スチールは、原料からスチールを生産するときのコストが安い。
・アルミニウムは、運送コストが安い。
・アルミ缶・スチール缶になるまでの総コストは、あまり変わらない。
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